アバター / AVATAR レビュー

映画『アバター』の評判が良いので、IMAX 3D で上映されている109CIENEMAS川崎のあるLAZONA川崎Plazaに行ってきた。

LAZONA川崎

LAZONA川崎Plaza。Nikon D90, AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR, 1/13, f/13, ISO640, 20mm (30mm), –2/3EV, A, WB:Cloudy, RAW

映画館で見る3D映画はこのアバターが初めてだったんだけど、3D映画としての感想を一言で言うと「一度体験する価値はある。けど、技術的にも演出的にもまだまだがんばれる」という感想だった。

まず、技術的観点で言うとやはりシャープネス不足を感じる。IMAX 3D は線偏向フィルターなのでメガネの角度によって右目と左目で見るそれぞれの映像のブレが大きくなってしまうので、他の3D方式ならばもう少しキれるのかもしれないけど、IMAXとは思えない解像度の悪さだった。ただ、このブレはCGバリバリのアバターにとっては有利に働いているところもあって、よくあるCGの質感の違和感を上映中に感じることはなかったが、Apple Movie Trailers で見られる Avatar: Featurette を1080pの2D映像で見てしまうと動物も草木も一目でCGと分かってしまう質感なので、どれだけ補完されていたかが比較するとよく分かる。

もう一つは人間が等身大パネルのように見えるシーンが多いこと。つまり、人間Aと人間Bの間では確かに奥行きの差を感じるんだけど、人間Aの鼻と耳は同一平面にあることで、個人的には2D映像以上に「(他に比べて)人間が平面だなー」と意識させる逆効果になってしまった。メカや矢のような構造が単純なものは違和感なく立体化できているんだけど、一般的に人間は人間の顔に関しては特に敏感に見てしまうので粗が気になってしまう。2台のカメラを使って撮影しているとのことなので無段階で立体化できそうなものなのにと素人考えしてしまうけど、そう簡単ではないんだろう。

演出について。3D効果をスクリーンより飛び出す側(凸側)よりもスクリーンより引っ込む側(凹側)に多用していたのは正解だろう。確かに凸側を増やしたほうが3D感を感じやすいんだけど嘘くさすぎるので、凹側で映像に立体感を増やすほうがリアリティを感じさせる。イクラン(飛竜)に乗っての飛行シーンなんかは「そうそう、これが見たかった!」というすばらしい3Dっぷりだ。

じゃぁなぜ凸側は嘘くさいのか。まず、フィルム側で見切れてしまっている部分は当然ながらスクリーンより前に飛び出しても見切れてしまっている。ジャングルの中で枝を飛び出たせたい気持ちも分かるんだけど、見切れている枝はそれが非現実であることを主張してしまっている。クラゲ(木の精)が凸側にたくさん浮遊しているのも良いんだけど、それが大きく見切れているとげんなりだ。飛び散る砂とか火の粉とかは見切れててもほぼ気づかないので問題ないんだけどね。

もう一つは被写界深度の問題。スクリーンより大きく飛び出した部分は前ボケさせることで遠近感を出しているんだけど、これは2Dの場合の表現方法であってこれを3Dでやられるとものすごく違和感がある。人間の目にも被写界深度はあるわけだけど、人間の目は注視したものの深さにピントが合い、注視していないものの深さがボケる。ところが、アバターでは突き刺さった矢の羽の部分(最も飛び出ている部分)をいくら注視してもそこは常にボケているのが現実に反している。もちろん人間の注視している部分を検出して……なんてのは現段階では無理だろうけど、パンフォーカス(すべての深度にピントが合っている状態)で表現したほうが違和感が抑えられたのではなかろうか。

これらの課題のほとんどは2Dでも同様の課題であることは確かなんだけど、3Dにすることでリアリティが増すことで逆にリアリティのない部分が浮き出てしまうということだ。不気味の谷現象の一つと言えるかもしれない。

じゃ、アバターは見る価値がなく、見るにしても2Dで見るべきなのかというと全くそんなことはない。この映画は3D映画としての確かなマイルストーンであり、かつてディズニーランドにあったキャプテンEOに比べて何が変わっていて何が変わっていないのかを体験する価値は十分にあると思う。この映画を見ずに3D映像を語るべきではなく、今後の3D映像のベンチマークになっていくことは確実だ。

また、モーション・キャプチャについてもすばらしく、体の動きはもちろん、目や口の動きにまで重力を感じられる仕上がりになっており、ナヴィに対して不気味の谷現象を感じることはなく、時間が経過していくごとに「ネイティリかわいいかも」と思えてくるところがジェイクとシンクロできててとても良い。シナリオに関しては「ひねりがない」とか言われるかもしれないけど、個人的にはあれはあれでありだと思う。『水戸黄門』に「ひねりがない」と指摘するのが野暮であるように王道進行は王道進行なりの楽しみ方ってのがあるわけだし、王道進行にありがちな「矛盾点が目立つ」「中だるみする」というようなことがない点でも誰もが楽しめる良作だと思う。

逆に、初めて見た109CINEMAS川崎のIMAXはスクリーンも普通の大型スクリーン規模だし解像度も8Kあるとは思えないし「えぇ、これでIMAX!?」という期待はずれだった。IAMXって他の映画館とは比較にならないぐらい超絶にすごかった記憶があるんだけど……。

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